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更新日:H22/02/02
「建築3次元シミュレーション&インタラクティブツール体験セミナー」報告
平成21年度 文部科学省委託「社会人の学び直しニーズ対応教育推進事業」
北翔大学「学び直しセミナー」
講演名:「建築3次元シミュレーション&インタラクティブツール体験セミナー」
日時:平成21年11月2日(月) 14:00~20:00
会場:北翔大学 北方圏学術情報センター「ポルト」



講演会の様子

体験コーナーの様子


『プログラム内容』

1.講演会(14:00~18:10)
・14:00~14:10 事業責任者挨拶
北翔大学芸術メディア学科教授 小室 晴陽

・14:10~14:50 「建築3Dシミュレーションツールのご紹介」
株式会社クレッセント 向井 利光氏

・15:00~15:50 「身近になった3D立体映像」
北翔大学芸術メディア学科准教授 松澤 衛

・16:00~16:50 「GPS携帯によるインタラクティブ展開」
有限会社EYERise 代表取締役 千田 斎氏

・17:00~18:10 「RevitによるBIM設計の実際と3dsMaxとの連携によるビジュアライゼーション」
オートデスク株式会社 長瀬 純氏
北翔大学芸術メディア学科教授 小室 晴陽

2.体験コーナー(16:00~20:00)
「没入型ヘッドマウントディスプレイによる建築空間体験」 株式会社クレッセント

3.体験セミナー(18:30~19:30)
「Autodesk Revit体験セミナー」 オートデスク株式会社 長瀬 純氏

<講演内容>
●14:00~14:10、業責任者挨拶 
北翔大学芸術メディア学科教授 小室 晴陽

 

【以下、小室教授】
本日行う内容は、主に建築デザインの仕事の方へ向けてデジタルツール活用についての情報提供を主旨としたセミナーである。
(本日のセミナーチラシに表示されている)札幌デザインウィークとは札幌市、教育委員会、札幌市立大など建築インテリア関係の団体や会社、学校が参加してセミナーや講演会、コンテストなどを10月末から約一週間程度実施しているイベントである。その取組に北翔大学も参加し、このセミナーを行っている。同じ会場で実施している卒業設計日本一の模型展もその札幌デザインウィークの催しの一つである。
北翔大学とは江別市文京台に本拠地がありこの建物は「北方圏学術情報センター」(通称ポルト)といいサテライトの研究センターである。
文京台では、スポーツ系や芸術メディア学科、教員養成系、福祉系の学部があり短大、大学院含め2,600名ほどの学生がいる。
平成19年に文部科学省が全国から公募した「社会人の学び直しニーズ対応教育推進事業」に私ども芸術メディア学科が申請した事業が採択されたため、建築インテリア関係の社会人向けセミナーを土曜日と平日夜間に実施している。長い方で6ヶ月ほどの期間学ぶセミナーである。
内容としては、Photoshop、Illustrator、3dsMaxなどのデジタルツールの講座と札幌駅前にあるキャリアバンク㈱で実施しているプレゼンテーション技術を学ぶ講座がありデザインができて、デジタルツールが扱えて、人前で効果的にプレゼンテーションできるスキルがトータルで学べる内容となっている。

などと、説明し本日行う6つの講演および体験セミナーの説明と講師の紹介をして挨拶を締めくくった。


●14:10~14:50、「建築3Dシミュレーションツールのご紹介」
株式会社クレッセント チーフエンジニア向井利光氏

東京築地で、主にヨーロッパ方面のソフト・ハードウェアを販売している㈱クレッセントの向井様に建築系のソフト・ハードウェアについてご紹介いただいた。

【以下、向井氏】
建築では古くから構造計算などでコンピューターを盛んに利用している分野である。作図作業において2DCADから3DCADへと進化する中で3次元のX,Y,Zの座標を持ったデーターを保持することになった。
そのデーターを図面を描くことをゴールとせず、財産として再利用する流れとなるのは当然である。
3Dデーターにリアルな質感や立体感をあたえる技術が求められると同時にデーターで作られた道路の上を走ってみたい、その建物に入ってみたい、住んでみたいという欲求からデーターで実体験するシステム(バーチャルリアリティシステム)も求められるようになった。
当初は専用のソフト、専門のエンジニアが必要で誰でも利用できるものではなかったが、要求が高まるにつれて開発も進んできている。比較的安価で、メンテナンスも楽に、手軽に使えるVRシステムとして3dvia virtoolsを紹介したい。CADデーターや3dsMaxなどのDCCデーターをリソースとして使うのが得意なミドルウェアである

【プロジェクター画面】
ホテルのロビーと女性の画像が投影され、向井氏のマウス操作と矢印キー操作でロビーを女性が歩き回ると同時にカメラが女性の後ろをついていき内観の確認や目線、ライト効果の確認ができる。壁やソファにあたると止まり、突き抜けることはない。目線の高さをかえて天井をみることもできる。
エクスポート次第でインターネットエクスプローラで見ることもできる。このプログラム(プロジェクター画面のホテル内装を歩き回れるプログラム)は私が3日で完成させた。一般のユーザーでも1週間程度で完成させられる。
次に、主となる建物や部屋のデーターがあっても周囲環境(隣接する建物や道路や自動車、人などの景色)の作成に時間がかかることが多い。それらを解決する策として道路などの建築物に関してはCity Engine人や自動車に関してはMassiveでサポートすることが可能だと考えている。
City Engineとはルール(高さや面積、窓の数など)を設定することで自動的に道路や建物をつくるソフトである。【City Engineによる町並みの作成のデモ映像を投影】豊臣の時代の大阪の街並みを作るという仕事があったが弊社のデザイナーが1週間程度で作り上げた。
Massiveとは鳥の群れをシュミレーションするツールから始まった群像シミュレーションツールだ。【Massiveが最初に使われた映画ロード・オブ・ザ・リングの騎馬兵の映像やアイ・ロボットのロボットの行進のシーンを投影】
建築への応用としてはオフィスの動線シミュレーションやコンサートホールなどの火災時に避難する人のシミュレーションとして使うことができる。
さらにクォリティの高いVRシステムとしてImmersive VR Systemというヘッドマウントディスプレイを装着し歩き回れるシステムの提案を行っている。モーションキャプチャカメラViconで赤外線により頭や手足の方向や位置を計算し、ヘッドマウントディスプレイをかぶった人が歩き回り、頭を動かすと同時に見ている映像の視野の位置も変わるというものである。
これらのツールを複合しCADデーターに3dvia virtoolsで歩き回れるプログラミングを施し、City Engineで周囲の建物環境を整えMassiveで群集シミュレーションを行い、Immersive VR Systemで実際に動き回れるという高度なプレゼンテーションを行うことが可能と話し講演を締めくくった。

●15:00~15:50、「身近になった3D立体映像」
北翔大学芸術メディア学科准教授 松澤 衛
3D立体映像について、どのような身近な機材で見られるのかとどのような手順で立体映像を作成していくのかについて本学芸術メディア学科准教授 松澤氏よりお話いただいた。

【以下、松澤准教授】
(手元に左右が赤と青のレンズのメガネを持ち、プロジェクターに手元のカメラで投影)昔、映画館でこのようなメガネをかけ3Dを楽しむということが流行った。現在ハリウッドでは3D映画の第3次ブームが来たといわれている。それは技術が進んだこともあるがハリウッドの集客戦略として3Dという付加価値をつけるという面もある。富士フィルムで3D映像が撮影できるカメラ(2009年7月発売)が発売されたりと身近になってきている。今日、用意した新しい3D視聴のメガネはアクティブシャッターと偏光メガネである。(それぞれ2台のモニターと2種類のメガネがある)
アクティブシャッターというのは右目と左目で見る映像を切り替えており見ている人間の頭の中で3Dの像を結ぶものである。今日、持参した機械は5万円ほどの安価なセットであり長時間見ると頭がかなり疲れる。
今後主流になると思われるのは、もう一つの偏光メガネである。アクティブシャッターは普通のモニターであるのに対し偏光メガネを使用するモニターには一ラインごとに偏光フィルターが右目用と左目用で交互に貼られている(3Dではない映像も普通に見られる)。問題点としては解像度が半分になる。解決のためにはプロジェクターを2台使いそれぞれに異なる光の通し方をするフィルターを貼り、その反射した光を人間が見る仕組みでこれは学生が現在卒業研究として実施しているものである。(プロジェクターを簡単な手づくりの台に2台、縦に置く)これらを投影するのに白いスクリーンでは光が拡散してしまい見られない。(講演会場のポルトのスクリーンも白で投影できない)シルバースクリーンというアルミの粉を吹きつけたものでかなり高価である。安価に身近なもので代用するには、様々に試した結果、アルミ箔の裏(シワなくきれいに張るのが難しい)やメッキ調スプレー(銀色のもの。ホームセンターで購入できる)をボードに貼り付けるのが良いようだ。また、2台のプロジェクターを専用の機械で同期させるかパソコンのポートを使って同時に映像を流す必要がある。
投影する映像をMaxで作る際には2台のターゲットカメラの注視点を合わせて撮影することがポイントとなる。カメラは左右の目の距離(65mm)離すと立体に見えるといわれているが1台で立体の撮影ができるカメラも研究で作られているので2台置く必要がなくなるのも近いと思われる。
一般的な3D視聴が広がる条件としてファイル形式の統一というのが必須だが現在その様子はない。早く統一させ、一般視聴を広めたい。

講演終了後、ステージで2台のモニターと3Dメガネでの視聴を限られた時間であるが自由に体験。海中を魚が泳いでいる様子や恐竜の3D映像を視聴して「きれい」や「すごい」などの歓声があがった。

  


●16:00~16:50、「GPS携帯によるインタラクティブ展開」
有限会社EYERise 代表取締役 千田 斎氏
いまや普及率90%を超える携帯電話の中でGPS機能付携帯における市場や、展開されるサービス、マーケティングについて東京にてコンサルティングや制作のコーディネイションを行っている有限会社EYERiseの千田氏にお話いただいた。

【以下、千田氏】
携帯電話とは非常に付加価値の付けやすい市場である。24時間持ち歩きつながり続けているからである。
GPSチップが搭載された機種の普及も増えてきており現在の日本におけるGPS携帯市場約247億円が約525億円まで成長するのではないかというリサーチ会社のプレスリリースもあるほどだ。
その理由として総務省が普及を指導している面がある。緊急通報用としての利用のためである。
GPS機能を使ったコンテンツとしては「コロニーな生活☆PULS」「国盗り合戦」などのゲームや出かけ先の天気などをお知らせしてくれるサービス、ナビシステムなど会員数100万人を超えるものがある。
建築での活用の実例としてはGPSデジカメで撮影した情報の位置情報を取れるユニット(SONY製)があり入札資料作成や、広い工事現場において作業箇所ごとの進捗状況を管理することができる。

岩手県の会社では道路や河川の維持管理として破損箇所をパトロールで見つけた際にGPS機能つきカメラで写真を撮ってサイトに送り、修理の手配をするという実際の運用をしている。場所や破損状況を確認でき、修理する人間を配置するための時間や人件費等を抑えることができるとのことだ。住宅建築において作業状況を日々更新して、施主に確認してもらうなど付加価値サービスとしての利用もできるだろう。日々の作業を確認できるだけでなく、最終的に家が建つ様子の画像を使いスライドショーにして渡すというようなこともできる。GPS機能付携帯とSNSサイトを組み合わせることで容易に写真、位置情報がとれ、コメントの付記が行える。
最後に、このイベントに向けて作ったデモサイト(GPS機能付携帯で撮った映像をメール送信することでSNSサイトに写真と位置情報地図、コメントをアップすることができるサイト)に実際に投稿する実演を行い、講演を締めくくった。

●17:00~18:10「RevitによるBIM設計の実際とMaxとの連携によるビジュアライゼーション」
株式会社オートデスク ソリューションコンサルタント 長瀬 純氏
北翔大学芸術メディア学科 教授 小室 晴陽
コンピューターで設計することがあたりまえとなり、コンピューターでなければできないようなデザインや複雑な構造計算を必要とする中でできた新しいBIMという考え方、それに基づくRevitというソフトについて株式会社オートデスク ソリューションコンサルタントの長瀬純様にご講演いただいた。

【以下、長瀬氏】
BIMという考え方の背景についてまずご説明したい。現在の建築業務においての課題として改正建築基準法により申請内容の変更が認められず申請作業量が増加していることは建築業務に携わっておられる皆さんも実感していることと思う。また、サステナブルデザインという環境に配慮した設計を視野に入れなければいけない世の中になっている。Autodeskは1982年に発売した2次元CAD AutoCAD Version1.0から25年以上の歴史を持っている。ソフトは格段に進歩したものの設計・施工業務に携わる様々な設計者や技術者がそれぞれに膨大な枚数の製図が必要なことには変わりがない。また、今までの2次元のCADでは作れないデザインの建物やコンピュータだからこそ可能となる作業、構造計算などが出てきている。
以上のような背景の中で出てきたのがBIM=Building Information Modering(訳:建物情報モデル)である。

計画の情報を一元的に管理し、必要な情報を必要な時に付加し用途に合わせて活用する。
線画の情報だけでなく材料の分量や面積、また環境シミュレーションなどすべてを一元管理するシステムでありAutodeskがBIMソフトとしてリリースしているのがRevitである。
通常の設計手順である2D製図を行わずにまず、建物の部材・機器を配置して3Dを作成し「平面図」は水平断面、「立面図」は側面、「断面図」は垂直断面にするものだ。データーの関連付けにより例えば「ドアのある壁を削除するとドアも削除される」や「階段の段数を減らすと上階の床や壁の位置も自動的に変わる」など変更が容易にできる。
日影ソフトADS(生活産業研究所㈱)との連携やGoogle Earthから地理情報を取得することで環境シミュレーションに活かせる。Revitで作ったものをGoogle Earthに貼り付けることで施主がAutoCADやRevitを持っていなくても確認してもらえる。
Wind Perfect(㈱環境シミュレーション)との連携では3次元熱流体解析を設計に反映することができる。その他Autodesk Ecotect(日本未発表)での日影・日射・照明・音響シミュレーションやAutodesk Navisworksで4Dプランニング、干渉チェック、ビジュアライゼーションに活用することもできる。dwg、dxf書き出しもできる。意匠設計だけでなくRevit Structure(構造設計者のためのRevit 構造計算ソフトとの連携もできる)やRevitMEP(電器・給排水衛生・空調そのたのためのRevit)もあり意匠・構造・設備で情報を共有することができる。
Revitを実際に使用した例としてNew YorkのOne World Trade Center-Freedom Towerなどを紹介。
最後に大成建設㈱が横浜カメリアホスピタルのプロジェクトにおいてRevitを使用した各部門担当者の感想をビデオ上映して長瀬氏の講演を締めくくった。

続けて、3dsMaxを使い、実践的に行うビジュアライゼーションについて北翔大学芸術メディア学科教授の小室晴陽氏が講演を行った。


【以下、小室教授】
現在、大手建築会社やゼネコンでの大規模プロジェクトでは今日紹介したAutodesk Revitやグラフィソフト社のArchicadで設計製図とビジュアライゼーションを同時に行うというのが主流になってきている。しかし、一般的なビジュアライゼーションの作業の流れとしてAutoCADやJWCADなどの図面を使い、3dsMaxやGoogle SketchUpを使ってモデリングをしてPhotoshopやMaxを使ってアニメーションを行うことも多いであろう。CG作成の際のポイントとして、いかに手間をかけずにリアルなものを作るか、生産性を高くするかということをご紹介したい。
例)マンションの外観CG。レンガ建ての建物で窓にレースのカーテンがかかっている。
このようにカーテンなどで生活観を与えることでリアルに見えるが、カーテンの曲線をMaxなどでモデリングするのは手間がかかるしやる必要はない。モデルルームなどで様々なカーテンがかかっている窓をデジタルカメラで撮影しPhotoshopで合成することでリアルな外観が容易に可能となる。
例)団地の新たな棟をモデリングする際の周りの建物

隣接する周辺の建物を正確にモデリングしなくてはいけない場合、手間がかかるので外郭を正確にモデリングしてデジタルカメラで撮影した外装をマッピングするなどデジタルカメラで実際に取った画像を利用して取り込んでいくことがポイントになる。
また、北海道では冬にどのような景色になるのかも重要であるが雪の表現は非常に手間がかかる。この場合にも実際に冬の景色を撮影しておいて夏の景観でモデリングしたものにかぶせてマッピングする。
以上のような、生産性高く容易にCG作成をするポイントを紹介して講演を締めくくった。

『体験コーナー』
「没入型ヘッドマウントディスプレイによる建築空間体験」 株式会社クレッセント
高画質、高解像度のディスプレイを頭部に被り周囲の視野を分断して没入することでリアルな空間体験が可能なImmersive VR Systemを体験できるコーナー。フランスの世界遺産モン・サン・ミッシェル(データー提供:㈱クレッセント)やル・コルビジェの有名建築サヴォア邸(データー提供:北翔大小室研究室)をヘッドマウントディスプレイを装着することで体験。自身が歩く、頭を左右に振る、コントローラー(ゲーム機のコントローラー)操作することに伴って視野が変わり部屋の中を移動するような、周囲を散策しているような体感が可能。

  

『体験セミナー』
「Autodesk Revit体験セミナー」 オートデスク株式会社
講演を担当されたオートデスク㈱ソリューションコンサルタント 長瀬氏によるAutodesk Revitハンズオンセミナー。会場をコンピューター室にかえ実際に操作を体験した。

  
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